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コスパ最強の中華製ストロボとして数年前から巷を賑わせているNEEWERのTT560を使い始めて1年ほど経ったのでようやくレビューします。
商品の簡単な説明と実際に使ってみた作例などを紹介していければと思います。
ストロボについての簡単な説明も記載しておくので次のような疑問を持った方の参考になるかと思います。
- ストロボ撮影に興味があるけどどんな写真が撮れるの?
- 激安のストロボでも綺麗に撮影できるの?
ストロボの選び方
まず、最初に軽くストロボの選び方について記載しておきます。
今回紹介するTT560に関してもこの基準と照らし合わせながら紹介していくので話しの流れ的に最初に記載しておきますね。
ストロボ選びのポイントは大きく以下の3つです。
- ガイドナンバー(GN)
- TTL対応有無
- 上下左右への首振りが可能か
ガイドナンバーやTTLはストロボ選びで重要な点になるのでそれぞれがどのような指標なのかを解説します。
ガイドナンバー(GN)とは
ガイドナンバーとはストロボの光の強さを表す指標です。
基本的にこの数値が大きければ大きいほど強い光を放つことが可能となります。
撮影する環境にもよりますが、室内や夜間の撮影であればガイドナンバーは40程度あれば十分です。
30程度でも内臓ストロボよりは強力だし、室内での撮影であれば十分綺麗に撮影することができます。
しかし、昼間の野外でストロボを用いて撮影を行う「日中シンクロ」や「天井が高い会場での天井バウンス」などの場合はガイドナンバーはもう少し大きいものが良いかと思います。
もう少し具体的に解説すると、ガイドナンバーはISO100に設定した場合に適切な絞りと撮影距離を測る指標になります。
ガイドナンバーに関する計算式はいくつかあり、代表的なものをあげると以下の3つです。
- ガイドナンバー = 光が届く距離(m) × F値
- 光が届く距離(m) = ガイドナンバー ÷ F値
- F値 = ガイドナンバー ÷ 光が届く距離(m)
どれも言っていることは同じで式の順番を並び替えただけです。
例えばガイドナンバーが40でF値を8で撮影する場合被写体と5mほど離れると最適な明るさで撮影できるということです。
ちょっと難しいかもしれませんが、ぼんやりと被写体までの距離とF値が関わってくるんだなぐらいで覚えておいてください。
TTLとは
TTL(Through The Lens)の略で自動調光機能になります。
周囲の明るさに合わせてストロボの光を自動で調節してくれます。
ストロボを使い始めて最初のうちはストロボが強すぎて白飛びしてしまったり、ストロボが弱すぎて思ったより暗い写真になったりするので最初のうちはあると便利な機能です
ただ、この機能は安いストロボにはついていないことが多いです。
と言っても光量を手動で調整できるようになった方が自分の狙った雰囲気が撮れるので正直この機能はあれば使うかもぐらいで考えてください。
ミラーレスカメラを買った当時はAUTOで撮影していたのがいつの間にかマニュアルモードでしか撮影しなくなるのと同じ感じですね。
AUTOでもそれなりに綺麗には撮れるけど、狙った雰囲気を出すなら絞り優先モードやシャッタースピード優先、マニュアルモードで撮りますよね。
上下左右への首振りが可能か
ストロボ撮影でもっとも利用するテクニックの一つがストロボの光を反射させて被写体に当てる「バウンス」です。
以前のストロボの記事でも触れましたが、ストロボを直接被写体に当てるよりも、壁や天井に反射させた光を被写体に当てた方がふんわりと綺麗な写真が撮影できます。
室内撮影時のフラッシュ(ストロボ)活用方法、一眼・ミラーレスカメラで天井バウンスを使いこなそう
そのため、壁や天井に光を当てるために上下左右に首振りできるストロボを選ぶのがポイントです。
多くのストロボは上下左右の首振りができるので問題ないとは思いますが、念のために記載しておきます。
NEEWER TT560とは
NEEWERは中華製のメーカーでスピードライトだけでなくカメラの三脚やレンズなども販売しています。
中華メーカーというと品質が気になりますが、NEEWERはただ安いだけの中華製メーカーではなく、品質にも定評があります。
実際今回紹介するTT560も1年程度使用していますが、特に問題なく使えています。
3,000円の激安ストロボ
NEEWER TT560の特徴はなんと言ってもその価格です。
CanonやNikonなどのカメラメーカーは販売しているストロボは数万円する代物でなかなか手が出しづらいですが、NEEWERのストロボはわずか3,000円で購入が可能となっています。
ストロボ撮影に興味があるけど、2万も3万もストロボにかけれないという人でも気軽に試すことができます。
僕自身、純正品には手が出せずにTT560を購入した一人です。
当時はSONYのα6500を使用していて、内臓フラッシュを使うと室内撮影がかなり綺麗に撮れることを知り、これならちゃんとしたストロボ使えばもっと綺麗に撮れるんじゃないかと考えました。
室内撮影時のフラッシュ(ストロボ)活用方法、一眼・ミラーレスカメラで天井バウンスを使いこなそう
そして調べていて見つけたのがTT560です。
激安だったので思わず即ポチしました。
ガイドナンバーは38|室内やブツ撮りには十分な光量
先ほどストロボの選び方でも記載した光の強さを表す指標であるガイドナンバーは38となっています。
僕はブツ撮りやポートレート撮影で絞りを開放気味で撮影することが多いので、先ほどあげたF値と撮影距離の計算式の中の以下の式に当てはめてみます。
光が届く距離=38 ÷ 2 => 9m まで被写体と離れても最適な明るさで撮影ができるということになります。
正直十分すぎる光量ですよね。
また、このガイドナンバーはMAX値になるため、光量を落とすことでより被写体に近づいて撮影も可能です。
TT560は8段階の光量調整が可能となっており、1段階に付き光量が半分になるので調整すれば近距離でのブツ撮りやポートレート撮影が可能です。
TTLは未対応
光量の自動調節機能であるTTLは未対応となっています。
ここは先ほどガイドナンバーの式も覚えて自分で光量を調整できるようになっていきましょう。
感覚さえ覚えてしまえば好きな雰囲気の写真を撮影することが可能です。
上下左右の首振りが可能
TT560は上下左右の首振りが可能です。
首振り稼働範囲は、
- 垂直回転角度:0〜90度
- 水平回転角度:0〜270度
角度だけ聞いてもピンと来ないかと思いますが、実際動かしてみると大体の方向に首振りが可能なので狙ったライティングが行えます。
なのでストロボを生かしてふんわりと撮影を行う天井バウンスや壁バウンスも自由に行えます。
僕は基本ストロボをブツ撮りにしか使っていないので、天井に向けるか、壁に向けてストロボ発光して撮影しています。
NEEWER TT560の撮影方法
NEEWER TT560の付属品等
まず、外箱は以下の画像のような感じでシンプルです。
製品名とガイドナンバー、使えるボタンなど一通りの情報が記載されています。
中身はストロボ本体と、ストロボを地面や三脚などに設置する用の土台、収納用の袋がついてきます。
この土台は裏返すとネジ穴が付いており、三脚に固定できるようになっています。
本体について紹介していくと、裏面に各種ボタン
それぞれのボタンの意味合いは以下
電源のON/OFFボタン
・TEST
テスト発光のボタン
・MODE
発光させるタイミングを切り替えるモードボタン
・-/+
光量調節ボタン
ボタンの上の表示については、パッと見た感じでなんとなくわかりますが、
光の強さを8段階で表示
・M/S1/S2
モード(M:通常発光 / S1S2:スレーブ発光)
・POWER
電源ONOFF表示
側面には電池を入れる面と、外部のACに接続するプラグ、シャッター用のプラグを接続するプラグがついています。
電池は単三電池が4本必要です。
別売りのACアダプターを利用すれば電池不要で利用も可能です。
ただこちらはスタジオなどで固定して撮影する場合などになるかと思うので普段は全く利用しません。
横のレリーズも固定して使うようなのでこちらもまた使う機会が少ないかもしれませんが、
NEEWER TT560の撮影方法
撮影方法自体は簡単で電源入れて、モードと光の強さを確認、POWERランプが点灯したことを確認した上でカメラのシャッターを切るだけです。
- TT560の電源を入れる
- モードが「M」になっていることを確認する
- 光量を設定する
- POWERランプが赤く点灯することを確認する
- シャッターを切ると発光する
NEEWER TT560での撮影時の注意点
簡単にストロボ撮影が行えるTT560ですが、少しだけ注意点を記載しておきます。
それは「シャッタースピード」についてです。
TT560に限らずストロボ全般に言えることですが、ストロボ利用時にはシャッタースピードをある程度遅くする必要があります。
機種やストロボによって多少誤差はあるとは思いますが、目安は1/150より遅く設定します。
シャッタースピードを遅くしないとストロボの発光とシャッターのタイミングが合わなかったり、十分な光量が取り込めなくなるため写真の半分が真っ白だったり撮影が失敗することがあるためです。
内臓ストロボの場合は自動的にシャッタースピードに制限がかかったりしますが、上記の理由により制御されているわけです。
外付けの場合は自動で制御されないため、自分でシャッタースピードを調整する必要があります。
SONYのα6500とα7Ⅲで撮影してみた
格安ストロボだとどの機種が対応しているのか、など気になるかと思いますが、僕が持っているα6500とα7Ⅲではシャッターのタイミングでちゃんと発光してくれました。
実際にα7Ⅲにつけて撮影した作例を紹介します。
α7ⅢにTT560をつけて撮影
被写体はハリネズミの人形にやってもらいます。
撮影の環境としては、間接照明のみがついている少し薄暗い室内で行なっています。
まず、
最初にストロボを利用せずにISOの調節だけで撮影してみました。
ISOもっと上げろという声も聞こえてきそうですが、少し暗く色合いもやや間接照明の暖色になっています。

ストロボ無し/ α7Ⅲ 24mm f/1.8 SS1/50 ISO3200
続いてTT560を装着して天井バウンスで撮影してみました。
だいぶふんわりとした雰囲気で撮影ができています。
被写体との距離が近いこともあってストロボの強さは8段階中の最弱で撮影しています。
最弱の強さでこれだけしっかりと発光できるは強いですね。
絞り解放で暗めの中撮影したのでピントが完全に鼻先に当たってしまっていますね。。

TT560 / α7Ⅲ 24mm f/1.8 SS1/50 ISO1600
ついでに内臓ストロボでは対応できない壁バウンスでも撮影してみました。
ストロボを横向けに発光させ、被写体の横に白い紙をおいた状態で撮影しています。
しっかりと横から光が当たっていることが影の出来具合でわかるかと思います。
このように写真の表現を変えることができるのもストロボの魅力ですね。

TT560 / α7Ⅲ 24mm f/1.8 SS1/50 ISO200
ついでにそれぞれの撮影風景もあげておきますね。

ストロボ無し撮影

TT560で天井バウンス

TT560で壁バウンス
まとめ
わずか3,000円程度とは思えないほどしっかりとした製品でした。
ストロボ撮影は想像以上に撮影の雰囲気が変わるため、まだ試したことが無い人にはぜひ試してもらいたい撮影方法です。
個人的には撮影するようになって、明るい単焦点のボケ具合にまず感動して、次に感動したのがストロボの撮影でした。
そのぐらいのインパクトを持った撮影方法なので撮影シーンは多少限られてはいますが、ぜひ試してください。